ひっそり日野市議選 日程重なり告示日に街宣できず
告示日なのに、拡声器で名前の連呼ができない。十六日投開票の東京都日野市議選(定数二四)で、こんな事態が起きる。告示の九日は都知事選の投開票日。公職選挙法の規定で制限がかかるためだ。出馬予定者からは選挙日程への嘆きが聞かれる。 (北爪三記)
「都知事選が始まったとたん、街中が静かになった」。市議選に立候補を予定する新人は嘆く。
拡声器で街頭演説ができないため、「知名度が低い新人は不利だと思う」。別の新人も、「名前を知ってもらう機会が減った」と不満を漏らし、駅前などでの活動報告の代わりに、「家で政策を考えたり、告示後の演説の練習をしたりしている」。
市選管には、選挙が二週続くことで「選挙疲れ」による投票率低下への懸念もある。市議選の前倒しも検討したが「入場整理券と選挙人名簿を対照するシステムなどの準備は日程が決まっていた。ゼロから組み直して同時に選挙をやるのは時間的に難しかった」(中村安志事務局長)。
日野市議選が別の選挙と重なった例は過去にもある。一九九〇年二月、衆院選投開票日に市議選が告示された。投票率は衆院選67・93%、市議選57・37%。なお、前回の二〇一〇年の市議選は47・34%だった。
<公職選挙法201条の9> 政党などは、政談演説会や街頭政談演説の開催、ポスターの掲示、立て札及び看板の類の掲示、ビラ配布、宣伝告知のための自動車及び拡声器の使用については、都道府県知事または市長の選挙の行われる区域においてその選挙の期日の告示の日から選挙の当日までの間に限り、これをすることができない。
<同法165条の2> 何人も、二つ以上の選挙が行われる場合で、一つの選挙の選挙運動期間が他の選挙の選挙期日にかかる場合、その当日、投票所を閉じる時刻までの間は、その投票所を設けた場所の入り口から300メートル以内の区域で、選挙運動のためにする演説会を開催できない。選挙運動のための街頭演説、自動車などの上での選挙のための連呼行為も同様。
2月6日 東京新聞夕刊