汽水・淡水魚類 第4次レッドリスト公表

本日、1日付で環境省が汽水・淡水魚類の第4次レッドリストを公開しました。汽水・淡水魚類以外は昨年8月にすでに公表されていましたが、汽水・淡水魚類だけ取りまとめが遅れていました。



環境省レッドリストカテゴリー
●絶滅(EX)

●野生絶滅(EW)

絶滅のおそれのある種(絶滅危惧種
 ●絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
   ●ⅠA類(CR)
   ●ⅠB類(EN)

 ●絶滅危惧Ⅱ類(VU)

●準絶滅危惧(NT)

●情報不足(DD)

付属資料
●絶滅のおそれのある地域個体群(LP)

環境省レッドリストカテゴリーはこのようになっています。



○注目される種
環境省が「注目される種のカテゴリー(ランク)と変更理由」と題した資料を発表しています。この中では「クニマス」、「二ホンウナギ」、「ドジョウ」の三種類が取り上げられています。
マスコミが大きく報じるのはここで取り上げられた種類でしょうね。特にクニマスとウナギ。

クニマス 絶滅(EX)→野生絶滅(EW)
 2010年に西湖で発見された個体群について、サンプル数の増加や詳細な遺伝子解析などの科学的事実に基づいた結果、この個体群はクニマスと判断し、評価したとのこと。というのも、マスコミなどでは当初から「クニマス」が見つかったと報じられていましたが、一部では本当にクニマスなのかという意見もあり、さらにすでに田沢湖クニマスは絶滅してしまっていることから判断が難しいと言うのがあります。
結果的に「絶滅(EX)」から「野生絶滅(EW)」とされました。

・二ホンウナギ 情報不足(DD)→絶滅危惧ⅠB類(EN)
これまではどの程度の個体が川に遡上するのか、(逆にどの程度が一生海で暮らすのか)といった生態に関して不明な点が多かったため「情報不足(DD)」としていましたが、河川へ遡上する個体が大半であることがわかり、これらの個体が産卵に大きく寄与していることが確かめられたことから、河川での漁獲量データをもとに個体数変動を読み取った。この結果、三世代において50%以上の成熟個体が減少していることから、絶滅危惧ⅠB類の判定基準に達したことで、「情報不足(DD)」から「絶滅危惧ⅠB類(EN)」に選定されました。

・ドジョウ  情報不足(DD) 〈新規〉
在来集団のほかに、国外産の集団や国外移入種であるカラドジョウなどが各地で確認されていることから、交雑や種間競争等の影響が懸念されているが、全国的な拡散状況が十分に把握されておらず、評価に必要な情報に足りていないことから「情報不足(DD)」と判断されました。


私は個人的に、このレッドリストの評価を過大に受け止めて何か行動にうつすというのには否定的です。というのも、この評価がなされた=全国どの地域でも同じように絶滅が危惧される、という簡単なことではないなどのことがあり、また、絶滅のおそれがあるとされたのはこの汽水・淡水魚類の第4次レッドリストでは評価対象種全体の42%を占めているんです。なので絶滅危惧種という評価を受けての行動は、慎重に行っていくべきだと思います。別に絶滅なんて心配ないから気にしなくていいと言っているわけでは勿論ありません。
環境省の発表した資料でも、“レッドリストに掲載されることにより、かえって商業目的や鑑賞目的等による乱獲・盗掘等の対象になるおそれが懸念される種もあります。”と書かれており、難しい問題であることが分かります。
都道府県ごとにもレッドリストの類は公表されてますから、そちらのほうが地域密着型なのでまだ参考になるかもしれません。

○その他ランクが変わった種
2007年の評価と比べてランクが上がったり下がった種、新規記載種の一部を紹介。
アカヒレタビラ(2007では1種としていたのが3亜種に分けられた)
→・アカヒレタビラ EN
→・キタノアカヒレタビラ EN
→・ミナミアカヒレタビラ CR
●アリアケギバチ NT→VU
●オガサワラヨシノボリ CR→EN
オヤニラミ VU→EN
●スゴモロコ NT→VU
●ゼゼラ VU(新規)
●ツチフキ VU→EN
●ワタカ→EN→CR