今年もふ化 「今は貴重」楽しみに 八王子の高沢さん

毎日新聞 2012年04月17日 地方版
 環境省レッドリストで「絶滅危惧2類」に指定されている「トウキョウサンショウウオ」(両生類)の卵が、八王子市川口町の郷土史研究家、高沢寿民(としたみ)さん(81)宅の庭で今年もふ化を始めた。産卵を毎年楽しみにしているという高沢さんは「昔は当たり前のようにいたのに、今は貴重になってしまった」と話している。
 高沢さんは約40年前、自宅裏山の田んぼが造成されたのをきっかけに、あぜにいたトウキョウサンショウウオを保護しようと自宅庭のわき水の水たまりに移した。生活排水が入らないよう工夫して見守っていたところ、毎年春に卵が産み付けられるようになった。
 調査を続けるNGO「西多摩自然フォーラム」代表の久保田繁男さん(66)によると、トウキョウサンショウウオ福島県を北限として主に関東地方の丘陵部に生息し、都内では多摩地域にしかいない。育つためには卵と幼生時期が過ごす水たまりと、成体が過ごす林の双方が必要で、田んぼの荒廃など環境の変化から数が減っているという。【藤沢美由紀】
〔都内版〕