明大が計画 スポーツパーク 多摩テック跡地への移転中止

明大が計画 スポーツパーク 多摩テック跡地への移転中止

 明治大学(東京都千代田区)は、東京都日野市に計画していた総合運動施設「明治大学スポーツパーク」の建設中止を決め、六日に日野市に伝えた。大学側は強豪のラグビー部などが本拠地とする八幡山(はちまんやま)グラウンド(世田谷区)の移転先として新たな施設建設を計画し二〇一〇年から市側と協議していた。 (福岡範行)
 大学広報課や市によると、スポーツパークは〇九年に閉園した遊園地「多摩テック」の跡地など二十ヘクタールにラグビーやサッカー、陸上など五つのグラウンドや体育館、合宿所を整備し、市民の利用も検討する計画だった。当初は来年四月にオープンする予定だった。
 大学広報課は中止理由を「東日本大震災の被災地復興や東京オリンピックの招致の影響で、建設資材や人材が不足し、今後も事業費の高騰が続くものと見込まれるため」と説明している。事業費は公表していないが、当初見込みの一・七倍に膨らんでいるという。
 計画は、そもそも八幡山グラウンドが広さ六ヘクタールと手狭で、閑静な住宅街にあることから浮上。八幡山グラウンドは売却する方針だったが、スポーツパークの建設中止によって大学は、八幡山グラウンドの使用を当面続ける方針。新たな移転先探しはしていない。
 建設予定地だった日野市の多摩テック跡地は、明治大学の共同事業者である三菱商事が土地を取得。建設に伴う都市計画決定は昨年三月に手続きを終え、ことし九月にも着工できる見通しになっていた。
 日野市は事業中止を「地元の大きな期待を裏切る決定だ」と非難し、大学側に事業継続を求めている。

「スポーツパーク」建設中止 「社会的責任考えて」日野市が明治大を非難

 明治大学が日野市程久保に計画した総合運動施設の建設中止が波紋を広げている。建設予定地は二〇〇九年秋に閉園したホンダ系列の遊園地「多摩テック」の跡地。広大な跡地の有効利用を期待していた市はショックを隠せない。市まちづくり部の石本弘一郎部長らは六日、急きょ会見し「中止は一方的で受け入れられない。社会的な責任を考えてほしい」と大学を非難した。 (福岡範行)
 市によると、明大から建設中止を伝えられたのは、この日の午前。大学の日高憲三理事長らが市役所を訪れ、大坪冬彦市長に大学の決定を報告。大坪市長は中止を非難し、事業継続を要望した。
 大学と市は一一年十二月、総合運動施設「明治大学スポーツパーク」の建設に向け、自然環境を保全し、施設を市民に開放するなど地域に貢献するといった方針を覚書で確認した。市の都市計画決定前から、大学は住民への事業説明会を重ね、今年五月に都自然保護条例の審査も終了。
 ところが大学はその後、最終的な都の開発許可を申請しようとせず、市が理由の説明を求めていた。
 会見で市都市計画課の岡田正和課長は「信頼できる開発事業者が来てくれたと歓迎し、周辺住民も期待していた。中止は納得できない」と語気を強めた。
 大学広報課の担当者は本紙の取材に「何としても日野市内で事業を推進したいと思っていたが、事業費の高騰が見込まれ、経営判断で中止を決めた」と説明。日野市の地元住民に対する説明会の開催は未定だが、「説明の必要性は認識している。誠意ある対応をしたい」と述べた。
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多摩テック跡地(2010年6月撮影)
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建設中止を表明した明治大学を非難する石本部長(左)と岡田課長=日野市役所で
11月7日 東京新聞