ヒブナ、13年ぶりに生息確認 /釧路・春採湖

<ヒブナ>13年ぶり捕獲、生態調査へ 釧路・春採湖
イメージ 1
 ヒブナの生息地として国の天然記念物に指定されている北海道釧路市の春採湖で13年ぶりにヒブナが捕獲された。釧路市立博物館の学芸員が産卵期に湖岸近くの水草に集まるヒブナの特性に着目し、網で11匹をすくい上げた。現在、市博物館の水槽で詳しい生態を調べている。

 捕獲されたヒブナは体長約20センチの大型が多く、白く変色したヒブナも見られた。地引き網による生息調査が1984年から毎年秋に行われていた。開始時には237匹の生息数を確認したが、その後は減少。2001年に4匹を捕獲したのを最後に毎年の調査実施を見送り、数年おきに細々と継続されていた。

 減少の原因は外来種ウチダザリガニが湖に持ち込まれ、産卵場所の水草が減ったこと、また周辺の住宅からの生活雑排水が流れ込み水質が悪化したことなどが指摘された。復活のため、06年から人工水草を置いたり、地元の園児や小学生による稚魚の放流も行われた。生息調査が途絶えた後も地元の市民からの目撃情報が寄せられた。

 ヒブナは6~7月に産卵場所を求めて、湖岸近くの水草に集まる習性がある。同博物館の野本和宏学芸員が6月24日~7月4日まで湖岸近くで調査を実施した結果、74匹のヒブナを確認し、直径約1メートルの網などで11匹を捕獲した。野本学芸員は「湖全体での生息数はまだ推定できないが、産卵期の調査が有効なことが分かった。今後、生息調査の時期の変更も検討し、保全に当たりたい」と話している。【近藤卓資】

◇ヒブナ
 フナの一種で、鮮やかな緋(ひ)色が特徴。ヒブナの生息地として春採湖が天然記念物に1937年指定された。道内では厚岸町の床潭沼や名寄市天塩川水系などでも生息する。春採湖のヒブナは1985~87年の調査で染色体数などからギンブナの突然変異で出現したことが判明。雄が極めて少なく雌だけで増える雌性発生(しせいはっせい)で子孫を残す。89年には人工ふ化に成功した。春採湖は周囲4.7キロ、最深部約6メートル。太平洋とつながる汽水湖

毎日新聞 7月23日(水)